高夢想起者の前頭前野白質密度
Raphaëlle Vallat ほか 2名
Scientific Reports
まとめ
夢想起が「苦手」な人は、mPFCを活性化する覚醒時の自己関連課題(自分の感情・思考を言語化する日記など)が長期的に夢想起力を高める可能性がある。
明晰夢の前に、まず夢日記で想起力を鍛えることが重要。
概要
ラファエル・ヴァラらが、夢を頻繁に思い出す高想起者18名と低想起者18名のDTI(拡散テンソル画像)を比較し、高想起群で内側前頭前野(mPFC)の白質密度が有意に高いことを発見した。
夢想起力には構造的基盤があり、明晰夢の前提条件である夢想起の神経解剖学的基盤を示した。
背景
Marzano 2011は夢想起の電気生理学的予測因子を示したが、夢想起の「個人差」を説明する構造的基盤は未解明だった。
Schredl 2012は夢想起が明晰夢頻度の最強予測因子であることを示しており、夢想起の神経基盤を解明することは明晰夢研究に直結する課題であった。
方法
健常成人36名(高夢想起群18名:週3回以上、低夢想起群18名:月1回以下)を募集。
3テスラMRIでDTI(拡散テンソル画像)を取得。
内側前頭前野(mPFC)をROIとして白質密度(fractional anisotropy, FA)を比較。
年齢・性別・総脳容積を共変量として統制。
結果
高夢想起群で内側前頭前野(mPFC)の白質密度(FA値)が有意に増加(p < 0.05, FWE補正)。
他の前頭葉領域や海馬・扁桃体では有意差なし。
mPFCは自己関連処理・メタ認知・記憶統合に関与する領域であり、夢想起にはmPFCを介した記憶固定化プロセスが重要であることが示唆された。
主要な発見
- 高夢想起群で内側前頭前野(mPFC)の白質密度が有意に増加
- 他の前頭葉領域では有意差なし(mPFC特異的)
- mPFCは自己関連処理・記憶統合に関与する領域
- 夢想起の個人差には構造的差異が関与
- 明晰夢の前提条件である夢想起の神経解剖学的基盤を示した
意義
夢日記で想起力を鍛えることの重要性を、神経解剖学から裏付け。
Filevich 2015(前頭極灰白質)・Baird 2018(前頭-頭頂結合)と合わせ、前頭葉系の構造・機能が明晰夢と夢想起の両方に関与するという統合的理解を提供。
関連する脳領域・ネットワーク
注意点
横断研究であり、白質密度の差が夢想起の原因か結果かは不明。
サンプルサイズは小さい(各群18名)。
夢想起頻度は自己報告に依存。
明晰夢頻度との直接比較は本研究では行っていない。