夢想起とシータ・アルファ振動の関係(睡眠中EEG)
Carmen Marzano ほか 3名
Journal of Neuroscience
まとめ
毎朝夢日記を書く習慣は、長期的にシータ・アルファ活動を変化させ、夢想起力を高める可能性がある。
明晰夢の前提として、まず夢を思い出す訓練(夢日記)を優先すべきという実践的示唆。
概要
カルメン・マルザーノらが、65名の健常成人の夜間睡眠EEGを記録し、翌朝の夢想起の有無と睡眠中のシータ(5〜7Hz)・アルファ(8〜12Hz)活動の関連を解析した。
夢を思い出した夜は、覚醒前のシータとアルファ活動が増加しており、夢想起は睡眠中の神経振動パターンで事前に予測可能であることを示した。
背景
夢想起の個人差は明晰夢研究において重要な前提変数である(Aspy NALDIS/ILDISでも夢想起が明晰夢の強力な予測因子)。
しかし、夢想起の神経基盤は長年不明だった。
本研究は、睡眠中の脳波パターンが翌朝の夢想起を予測するかを初めて大規模に検証した。
方法
健常成人65名(平均年齢26歳)を睡眠ラボに2泊招集。
第1泊は慣れ、第2泊で19チャンネルEEGを夜間記録。
翌朝の夢想起(有無・夢の数)を自己報告で収集。
覚醒前5分間のシータ(5〜7Hz)とアルファ(8〜12Hz)帯域パワーを、夢想起あり群となし群で比較。
結果
夢を思い出した参加者(想起群)は、思い出せなかった参加者(非想起群)と比較して、覚醒前5分間のシータ(5〜7Hz)とアルファ(8〜12Hz)活動が有意に高かった。
効果は前頭部・中央部電極で最も顕著。
睡眠段階(REM/NREM)を統制しても効果は維持された。
夢想起は睡眠中の神経振動パターンで事前に予測可能であることが示された。
主要な発見
- 夢想起あり群で覚醒前のシータ(5〜7Hz)活動が有意に増加
- 夢想起あり群で覚醒前のアルファ(8〜12Hz)活動が有意に増加
- 効果は前頭部・中央部電極で最も顕著
- 睡眠段階を統制しても効果は維持
- 夢想起は睡眠中の神経振動パターンで事前予測可能
意義
夢日記の効果(想起訓練)と脳活動の関係を考える際の基礎データ。
Aspy ILDIS(2020)で「成功夜は想起量が2倍」という知見の生理学的背景を提供する。
関連する脳領域・ネットワーク
注意点
夢想起は自己報告に依存し、実際に夢を見なかったのか見たが思い出せないのかの区別ができない。
シータ・アルファ増加が夢想起の「原因」か「結果」かは横断研究では区別不可。
REM睡眠中の解析は限定的。