悪夢への明晰夢療法(LDT):症例シリーズ
Victor I. Spoormaker ほか 2名
Dreaming / N=8(症例)
まとめ
悪夢に悩む実践者は、夢日記→現実性テスト→悪夢シナリオの再脚本化→明晰夢誘導(MILD等)の順でLDT系プロトコルを試せる。
holzinger-2015-nightmareとセットで参照。
悪夢中に「これは夢だ」と気づく練習は、恐怖からのメタ認知的距離化として機能しうる。
概要
ヴィクター・スポールメーカーらが、反復悪夢を持つ8名に明晰夢療法(LDT)を適用し、悪夢シナリオに気づき夢中で対処する訓練後、全例で悪夢頻度・苦痛の減少を報告した症例シリーズである。
spoormaker-2008-ldtの前身として、悪夢治療への明晰夢応用の概念実証を提供した。
背景
2000年代初頭、悪夢治療の標準法はイメージリハーサル療法(IRT)が確立されつつあったが、夢中で能動的に介入する明晰夢アプローチは臨床エビデンスが乏しかった。
スポールメーカー(オランダ)は、LDTを悪夢障害に適用する最初の系統的症例集を報告した。
方法
悪夢障害またはPTSD関連悪夢の成人8名。
LDT(現実性テスト・悪夢再脚本化・明晰夢誘導訓練)を数週間実施。
悪夢日記と主観的苦痛尺度で前後比較。
ランダム化比較試験前の概念実証として設計。
結果
全例で悪夢頻度の減少または消失。
明晰夢獲得率は個人差あり——一部は明晰夢に到達せずとも悪夢が軽減。
副作用報告は限定的。
LDTはIRTと併用・補完しうると示唆。
主要な発見
- 8名全例で悪夢頻度・苦痛の減少
- LDT=現実性テスト+悪夢再脚本化+明晰夢誘導
- 明晰夢獲得なしでも悪夢軽減の症例あり
- spoormaker-2008-ldtの前身——概念実証
- 副作用報告は限定的
- 悪夢治療への明晰夢応用の臨床的起源
意義
holzinger-2015-nightmare・speth-2021-nightmares・harb-2016-ptsd-nightmareの理論的源流。
悪夢が多い実践者はLDT系文献を優先参照。
eichenlaub-2018-nightmare-ldの神経科学版の臨床的先駆け。
注意点
N=8の症例シリーズ——対照群なし。
自己選択バイアス。
長期フォローアップ限定的。
PTSD重症例への一般化には注意。