REM睡眠中の意志的コミュニケーションによる明晰夢の検証
Stephen LaBerge ほか 3名
Perceptual and Motor Skills / 複数名(複数セッション)
まとめ
明晰夢研究の「金標準」手法である眼球合図は本研究で確立された。
上級者は明晰夢中に左右交互の眼球運動を行う訓練をしておくと、将来的な睡眠ラボ研究への参加や自己検証に役立つ可能性がある。
概要
スタンフォード大学睡眠研究所で、訓練された複数の明晰夢者がREM睡眠中に意志的眼球運動シグナルを送り、明晰夢を反復的に客観検証した決定的研究である。
ハーン(1978)の先行研究を独立に再現・拡張し、明晰夢がREM睡眠中の実在する意識状態であることを学術界に確立した。
背景
ハーンの1975年の成果は当時十分に広まっていなかった。
ラバージはスタンフォード大学睡眠研究所(ウィリアム・ディメント主宰)で、より厳密な睡眠生理学の枠組みの中で同手法を再検証する必要があった。
本研究の成功により、明晰夢はESP研究の周縁から睡眠科学の主流に入り、以降のEEG・fMRI研究の方法論的基盤が整った。
方法
訓練された明晰夢者複数名をポリソムノグラフィ(EEG・EOG・EMG)で夜間睡眠中に監視。
明晰夢に入ったら事前合意の眼球運動パターン(左右交互8回など)を送るよう訓練。
REM睡眠段階の確認、EOGシグナルの検出、覚醒後の夢報告との三者一致を基準とした。
複数セッション・複数被験者で反復検証を行った。
結果
複数の被験者・複数セッションで、夢報告とEOGの眼球シグナルが一致する事例が反復的に得られた。
明晰夢は覚醒状態ではなくREM睡眠中に起きることが確認された。
眼球シグナルのタイミングはREM期の中でも変動し、明晰夢の開始・終了をマークする手段として有効であることが示された。
本研究はPerceptual and Motor Skillsに掲載され、明晰夢研究の引用文献として定番となった。
主要な発見
- 複数被験者・複数セッションで眼球シグナルによる明晰夢検証に成功
- 明晰夢はREM睡眠中に起きる意識状態であることを確認
- ハーン(1978)の先行研究を独立に再現・学術界に確立
- EOGシグナルが明晰夢マーキングの標準手法として確立
- スタンフォード大学睡眠研究所が明晰夢研究の中心拠点となった
意義
明晰夢研究が科学的主流に入る転換点。
以降の脳波研究(Voss 2009)、fMRI研究(Dresler 2012)、双方向通信研究(Konkoly 2021)すべての方法論的基盤となった。
関連する脳領域・ネットワーク
注意点
被験者数は限定的(「複数名」)であり、一般人口への一般化には注意が必要。
訓練された明晰夢者のみが対象であり、初心者への適用は別途検証が必要。
眼球シグナル以外の生理的マーカー(ガンマ波など)は本研究では解析されていない。