夢とデフォルトモードネットワーク
G. William Domhoff、Kieran C. R. Fox
Consciousness and Cognition
まとめ
明晰夢は「普通の夢(DMNの自動物語生成)」に「前頭葉の意識的制御」を加える状態であると理解できる。
瞑想やマインドフルネス(DMN活動の調整)が明晰夢に影響する可能性があるが、直接的な訓練法としては未確立。
概要
G・ウィリアム・ドムホフとキーラン・フォックスが、非明晰夢の生成はデフォルトモードネットワーク(DMN:自己関連思考・物語生成)の活動と一致し、明晰夢はこのネットワークに前頭葉制御が加わる状態と整合することを、神経画像研究と夢内容分析の文献統合により論じた理論的レビューである。
背景
2000年代にDMN(内側前頭前野・後帯状皮質・楔前部など)が発見され、覚醒時の「心ここにあらず」状態と関連することが分かった。
ドムホフは長年夢の内容分析(content analysis)を行ってきた研究者であり、夢の物語的・自己関連的特徴とDMNの機能的類似に着目した。
方法
神経画像研究(fMRI・PET)と夢内容分析研究の文献を統合レビュー。
DMNの構成領域(mPFC・後帯状皮質・楔前部・角回など)と、夢の内容的特徴(自己の登場・物語的連続性・感情)の対応を検討。
明晰夢研究(Dresler 2012など)をDMNフレームワークに位置づけ。
結果
非明晰夢の生成はDMN中心の活動と一致する。
夢の物語的・自己関連的特徴は、覚醒時のDMN活動(自己の過去・未来のシミュレーション)と機能的に類似。
明晰夢研究はDMNへの「前頭葉制御の侵入」として位置づけられる。
Dresler 2012で活性化した前頭前野・楔前部は、DMNとサリエンスネットワークの境界領域である。
主要な発見
- 非明晰夢の生成はデフォルトモードネットワーク(DMN)中心
- 夢の物語的・自己関連的特徴は覚醒時DMN活動と機能的に類似
- 明晰夢はDMNへの「前頭葉制御の侵入」として説明可能
- 神経画像と夢内容分析の統合的レビュー
- 意識研究の大規模ネットワークフレームワークへの統合
意義
明晰夢を意識研究のフレームワーク(DMN・大規模脳ネットワーク)に組み込むための理論的橋渡し。
Baird 2019レビューの理論的基盤の一つ。
関連する脳領域・ネットワーク
注意点
レビュー論文であり、新規の実験データは含まない。
DMNと夢の因果関係は未確定(相関のみ)。
明晰夢中のDMN活動を直接測定した研究は当時限定的。