頻繁な明晰夢者の resting-state fMRI パターン
Benjamin Baird ほか 3名
NeuroImage: Clinical (関連研究群)
まとめ
覚醒時のマインドフルネス瞑想や、前頭-頭頂ネットワークを活性化する認知課題(作業記憶課題など)が、長期的に明晰夢頻度を高める可能性がある。
ただし、直接的な訓練法としては未確立。
概要
ベンジャミン・ベアードらが、週3回以上明晰夢を経験する14名と、年齢・性別・夢想起を一致させた対照14名のresting-state fMRIを比較し、高頻度群で左前頭前野と頭頂間溝周辺(角回・中側頭回・右下前頭回)の機能的結合が有意に増加していることを発見した。
背景
Dresler 2012は明晰夢「中」の脳活動を、Filevich 2015は構造的差異を示したが、覚醒時の「脳のネットワーク状態」が明晰夢頻度とどう関連するかは未解明だった。
resting-state fMRIは、課題を行わない安静時の脳の機能的結合パターンを測定し、トレイトレベルの神経基盤を探るのに適している。
方法
週3回以上の明晰夢を報告する14名(高頻度群)と、年齢・性別・夢想起頻度を一致させた年1回以下の14名(対照群)を募集。
3テスラMRIでresting-state fMRI(8分間の安静時)と構造画像を取得。
左前頭前野(aPFC)をシードとした機能的結合解析と、グラフ理論的ネットワーク解析を実施。
結果
高頻度群で、左前頭前野(aPFC)と両側角回、両側中側頭回、右下前頭回の間の機能的結合が有意に増加。
左aPFCのノード次数・強度も高頻度群で有意に高かった。
一方、構造画像(灰白質量)に有意差は認められなかった。
増加した結合領域は、Dresler 2012で明晰夢時に活性化した領域と重なる部分が多く、覚醒時のネットワーク「準備状態」が明晰夢を促進する可能性が示唆された。
主要な発見
- 高頻度明晰夢者で左aPFCと頭頂間溝周辺の機能的結合が増加
- 結合が増加した領域:両側角回、両側中側頭回、右下前頭回
- 構造的差異(灰白質量)は認められず、機能的差異が先行
- 左aPFCのネットワーク中心的役割(ノード次数・強度)が増加
- Dresler 2012の明晰夢時活性化領域と覚醒時結合パターンが対応
意義
Dresler 2012の状態(state)研究を、特性(trait)研究で補完。
明晰夢は「覚醒時の前頭-頭頂ネットワークの結合度」に依存する可能性を示した。
関連する脳領域・ネットワーク
注意点
サンプルサイズが小さい(各群14名)。
高頻度群の募集基準(週3回以上)は極端に高く、一般の明晰夢者への一般化には注意が必要。
横断研究であり、機能的結合の変化が明晰夢の原因か結果かは不明。