明晰夢日記
月明かりの寝室に枕元の夢日記と蝶、淡い星の光が浮かぶ幻想的なヒーローイメージ。テクニックを試してもうまくいかない人のスランプ脱出を象徴しています。

明晰夢が成功しない・うまくいかない人へ|研究から判明した失敗する理由5選とその対策

「やり方は調べたのに、何ヶ月も全然うまくいかない…」 「以前は惜しい夢があったのに、最近まったく思い出せない…」 「リアリティチェックもMILDもやっているのに、成功しない…」

明晰夢でいちばんつらいのは、努力しているのに結果が出ないときです。 自分だけができないのではないか、才能がないのではないか──そう感じてスランプに入る方は少なくありません。

でも、ご安心ください。

研究では、明晰夢の失敗の多くは「才能」ではなく、よくある5つのパターンに分類できます[1][2]。明晰夢が成功しない・うまくいかない理由がわかれば、対策も具体的になります。

本記事は、すでにテクニックを試しているのに成功しない・うまくいかない人向けです。MILDなどの手順別記事で解説しており、ここでは研究データで失敗の理由を整理し、原因別の対策を示します。スランプ脱出のゴールは、研究の裏付けがある 夢日記とMILDだけ のシンプルな構成に戻すことです。

この記事でわかること

  • 明晰夢が成功しない・うまくいかない理由
  • 原因ごとのスランプ脱出対策

目次

明晰夢とは?

明晰夢とは、夢を見ている最中に「これは夢だ」と気づける夢 のことです[3]。

スティーヴン・ラバージ(Stephen LaBerge)博士らの研究では、明晰夢は覚醒時と非明晰夢の中間にある 「ハイブリッドな意識状態」 であることが、脳波・眼球運動などから示されています[4]。

研究が示す明晰夢の成功率

「自分だけできないのでは?」と不安になる方のために、まず数字を整理します。

Saundersらのメタ分析(2016)[5]

Saunders達は1966〜2016年に発表された「明晰夢を見たことがある人は何%か」というアンケート研究34件(計24,282人)を、ひとつの数字にまとめ直した論文としました。

1988年時点でも同様に調べられましたが、その時もほぼ同じ結論が出ており、非常に信頼性の高い結果となっています。

結果

  • 生涯に一度でも明晰夢を見た人:約55%(おおよそ49〜62%。2人に1人)
  • 月に1回以上見る人:約23%(おおよそ20〜25%)
明晰夢を見たことがある人の割合。生涯に一度でも約55%、月1回以上約23%(Saunders 2016)

図:Saundersらメタ分析(2016)に基づく明晰夢経験率[5]

つまり、明晰夢はほとんどの人が定期的に見ることはできません。多くの人にとって明晰夢は、訓練で成功に近づく技術です。今うまくいっていないからといって、能力がないわけではありません。


明晰夢が成功しない・うまくいかない|失敗する5つの理由

月明かりの寝室と枕元の夢日記、浮かび上がる蝶と星の光の幻想的なビジュアル(人物なし)

ここからは、すでにテクニックを試しているのに結果が出ない人 がつまずく理由を、研究データとともに整理します。当てはまる原因を見つけたら、記事後半の 対策 を試してください。

研究が示す、明晰夢が失敗する5つの理由

  1. 夢そのものを思い出せていない(最多)
  2. リアリティチェックだけを頑張っている
  3. テクニックのあと、眠りに戻れていない
  4. いきなり難しいテクニックから始めている
  5. 焦りから毎晩テクニックをやりすぎている

原因① 夢そのものを思い出せていない(最多)

明晰夢の大前提は 「夢を覚えている」 ことです。 朝、夢の内容がまったく思い出せなければ、夜中に一瞬気づいていても 成功したことに気づけません

ILDIS(国際明晰夢誘導研究、2020)[2]

アスピー博士らが実施した、NALDISの国際版にあたる大規模調査です。明晰夢に興味のある355人が、1週間はテクニックなしで夢日記だけ記録し、もう1週間はMILD・SSILD・リアリティチェックなどを自宅で実践しました。

夢の記憶力が高い人ほど、テクニックの成功につながりやすいことが確認されています。夢日記の習慣がある人ほど明晰夢を見やすい、という過去の調査[6][7]とも一致する結果です。

結果

  • テクニックのあと明晰夢に成功した夜は、成功しなかった夜より思い出した夢が多い
    1日あたり平均
    ・明晰夢成功時に思い出した夢の数:約 2.8件
    ・明晰夢失敗時に思い出した夢の数:約 1.7件
  • 夢の内容の想起量(詳しさ)も、成功した夜のほうが約2倍
    ・明晰夢に成功:スコア 10.2
    ・明晰夢に失敗:スコア 5.2
明晰夢の成功夜と失敗夜の比較。思い出した夢は約2.8件対1.7件、想起量スコアは10.2対5.2(ILDIS)

図:明晰夢に成功した夜ほど思い出した夢が多く、内容も詳しく思い出せる(ILDIS)[2]

夢を思い出せなければ、明晰夢に成功しても気づけません。気づけなければ仮に成功していても「ああ、今日も見れなかった・・・」など失敗したと思い込んでしまうことでしょう。


原因② リアリティチェックだけを頑張っている

リアリティチェックは有名ですが、研究では 単独では成功率がほとんど上がらない ことが示されています。

リアリティチェックとは、日中に「今、夢ではないか?」と本気で問いかけ、手のひらを見る・時計を二度見るなどで現実かどうか確かめる習慣のことです。夢の中でも同じ動作が出れば「これは夢だ」と気づける──そういう考え方のテクニックですが、これだけに頼ると研究上はほとんど効きません。

NALDIS(豪州明晰夢誘導研究、2017)[1]

アスピー博士(アデレード大学)が169人を対象に、リアリティチェック・WBTB・MILD(※後述)を組み合わせて「明晰夢を誘導できるか」を2週間で検証した研究です。1週目はテクニックなしで成功率を測り、2週目から各グループが実践しました。

ILDIS(国際明晰夢誘導研究、2020)[2]

NALDISの国際版。355人が同様に1週間のベースラインのあと、MILD・SSILD・リアリティチェックなど5パターンのテクニックを1週間試しました。自宅での実践という点はNALDISと同じです。

結果(2研究とも)

  • 何もしない週:約 8%
  • リアリティチェックだけ:約 6.8%(ほぼ変化なし)
  • MILDを含む群:約 17.4% 以上

リアリティチェックだけでは成功率が向上しない

リアリティチェックのみ約6.8%、MILDを含む群は約17.4%以上(NALDIS・ILDIS)

図:リアリティチェック単独では成功率がほとんど上がらない[1][2]

リアリティチェックは悪いテクニックではありません。日中の意識を整える補助としては有効です。ただ、主役にすると成功率が上がりにくいのも事実です。


原因③ テクニックのあと、眠りに戻れていない

よくある失敗は、「今夜こそ!」と興奮して目が冴えること、スマホを見ること、暗示を唱えすぎること、焦りで呼吸が浅くなることです。どれも「テクニックはやったのに眠れない」というパターンに直結します。

NALDIS(2017)・ILDIS(2020)[1][2]

アスピー博士の2つの大規模研究(NALDIS:169人、ILDIS:355人)で、テクニックを終えてからどれくらいで眠れたかが、明晰夢の成功率に大きく関わることが示されました。いずれも自宅で実践したデータです。

結果

  • NALDIS:MILDのあと 5分以内に眠れた人 の成功率は約 46%。5分を超えると大きく下がる
  • ILDIS:テクニックのあと 10分以内に眠れた夜 は、それより遅い夜より明晰夢の報告が約 65%多い

明晰夢を見られなくても、テクニックのあと10分以内に眠れたならその夜は合格、5分以内に眠れることが理想です。すぐに眠られることがテクニックより明晰夢の成功率を上げることも。早く眠れることは完璧な明晰夢テクニックより効果的になることも少なくありません。


原因④ いきなり難しいテクニックから始めている

WILD(意識を保ったまま夢に入る)や体外離脱系は、ネットでは目立ちますが、上級者向けです。最初からここに飛ぶと、夢日記もMILDも身につかないまま消耗しやすくなります。

Tan & Fan(2022)のシステマティックレビュー[8]

2012〜2022年に発表された明晰夢誘導の研究19件を整理し、「どのテクニックに研究による裏付けがあるか」をまとめ直した論文です。

結果

  • MILDがいちばん有効と判断できる研究が最も多い

難しいテクニックに時間を取られているなら、それ自体がスランプの原因になっていることがあります。


原因⑤ 焦りから毎晩テクニックをやりすぎている

「今夜こそ」と焦り、「毎晩やらなければ」と思い込み、MILDやWBTBを毎晩続けてしまうパターンです。訓練を続けること自体は悪くありませんが、焦りが頻度を上げすぎると、睡眠時間が削れ、夢を思い出せなくなり、成功率も下がります。

ILDIS(国際明晰夢誘導研究、2020)[2]

アスピー博士らの355人調査で、明晰夢の訓練が睡眠の質を悪化させたという報告はありませんでした。テクニックに成功した夜のほうが、睡眠の質が良いと報告される傾向もありました。

ただし、毎晩中途覚醒を続けると睡眠時間そのものが削れ、成功率も下がります。

明晰夢の訓練そのものが睡眠の質を壊す、という研究結果はほとんどありません[2]。問題は、焦りから毎晩中途覚醒のテクニックを続けてしまうことです。睡眠不足になると夢の記憶力も落ち、他の原因(①③)にもつながりやすくなります。


研究に基づく対策|スランプを抜けるには

上の5つの理由のうち、自分に当てはまるものの 対策だけ を1週間試してください。複数当てはまる場合は、後述の優先順位を参考に、一度に一つずつ 直すのが効率的です。

どの対策も最終的には毎朝の夢日記と、就寝前のMILDだけ に戻すことを目指します。他のテクニックは一旦おやすみして、この2つだけに集中しましょう。

対策① 夢日記を重点に、MILDと併用する

当てはまる原因: 原因① 夢そのものを思い出せていない

MILDを続けているのに朝になっても夢の断片すら思い出せない──このスランプはいちばん多いです。夢日記とMILDは併用したままでよいのですが、いまはMILDより夢日記の記載に意識を向ける のが先です。朝に思い出せなければ夜に一瞬明晰夢になっていても成功したことに気づけません。

明晰夢研究機関のILDISなどでは、成功した夜ほど思い出した夢が多いと報告されています[2]。夢を思い出せないうちにMILDの成否ばかり気にしても、結果は見えにくいままです。

やること

  • 毎朝、夢日記を 最優先 で書く
  • 思い出せなくても 「思い出せなかった」 と書く
  • 思い出せない時は、少しでも思い出そうと努力する
  • 日中も夢の内容を思い出したり夢日記を読み返す
  • 合格の目安: 週に3回以上、夢の断片(場所・人物・感情のどれか1つ)が思い出せる

夢日記とMILDはセットのまま、いまは記載量と朝の回想に集中してください。週に3回以上断片が思い出せるようになってから、MILDの結果を本格的に見れば十分です。思い出す力を戻してから、MILDの精度を上げる──これが夢の記憶力を向上させる近道です。

明晰夢を見るための夢日記完全解説|脳科学と実験が裏付けた実践法のすべて


対策② リアリティチェックに夢日記とMILDを組み合わせる

当てはまる原因: 原因② リアリティチェックだけを頑張っている

リアリティチェックだけを毎日何十回もやっていても夢で発動しない──そういう方は多いです。明晰夢研究機関のNALDISやILDISなどでは、リアリティチェックだけでは成功率がほとんど上がらないと報告されています[1][2]。

ただしリアリティチェックは起きている間に行う習慣なので、朝の夢日記や就寝前のMILDと時間は競合しません。問題はリアリティチェック単独に頼っていることで、夢日記・リアリティチェック・MILDの3つを組み合わせる 方が合理的です。

やること

  • リアリティチェックは1日 3〜5回。回数を増やすのではなく、1回1回を真剣に行う
  • 毎朝、夢日記を1行でも書く
  • 就寝前にMILDを行う
  • WBTB・WILDなど夜間の別テクニックは併用しない

リアリティチェックをやめる必要はありません。日中の意識づけとして残しつつ、成功率のデータがあるMILDと毎朝の夢日記をセットにしてください。3つを組み合わせるのが原因②の正しい直し方です。

リアリティチェックが夢で発動しない本当の理由──科学と記憶に基づく明晰夢技法の構造的再設計ガイド

科学的に明晰夢の成功率46%を記録した「MILD」のやり方とは?


対策③ MILDでの「唱えすぎ」をやめ、再入眠を最優先にする

当てはまる原因: 原因③ テクニックのあと、眠りに戻れていない

「今夜こそ」と気合を入れてMILDをやったのに、暗示を唱えているうちに目が冴え、1時間経っても眠れない──このパターンは原因③です。興奮、スマホの光、暗示の唱えすぎ、焦りによる浅い呼吸など、どれも テクニック後の再入眠を妨げます

明晰夢研究機関のNALDISなどではMILDのあと5分以内に眠れた人の成功率は約46%でしたが、それを超えると大きく下がります[1]。ILDISでも10分以内に眠れた夜のほうが明晰夢の報告が多いとされています[2]。文言を完璧に唱え続けるより早く眠りに戻ることのほうが成功率につながります。

やること

  • 基本構成(夢日記・MILD)のまま、暗示は 数回だけ に減らす
  • テクニック後は スマホを見ない、明るい光を避ける
  • 興奮した夜は、その日のMILDは短くして普通に眠る
  • 合格の目安: テクニックのあと10分以内に眠れた夜がある(明晰夢に至らなくても前進)

明晰夢をその夜見られなくても、テクニック後10分以内に眠れたなら その夜は合格 と数えてください。夢日記とMILDだけの構成は維持しつつ、唱えすぎだけ直す──原因③では、これがいちばん効く直し方です。

科学的に明晰夢の成功率46%を記録した「MILD」のやり方とは?


対策④ 難しいテクニックをやめ、MILDに戻す

当てはまる原因: 原因④ いきなり難しいテクニックから始めている

WILD(意識を保ったまま夢に入る)や体外離脱系のテクニックは、動画や記事で目立ちますが、いずれも上級者向けです。夢日記やMILDの基礎がまだ不安定なうちに複数の難しいテクニックを同時に試すと、何が効いているのか分からなくなり消耗だけが続きます。

Tan & Fan(2022)が19件の研究を整理したシステマティックレビューでは、MILDがいちばん有効 と判断できる研究が最も多いとされています[8]。いきなり難しい道に入るより、研究の裏付けがあるMILDに戻すほうが、スランプ脱出には合理的です。

やること

  • WILD・体外離脱系・WBTBなど夜間の難しいテクニックを いったん全部やめる
  • 夢日記(毎朝)+ リアリティチェック(日中)+ MILD(就寝前) に絞る
  • 他のテクニックは追加しない(まずこの構成で2週間続ける)

一度WILDやWBTBなどを手放し、夢日記・リアリティチェック・MILD の基本構成に戻してください。研究の裏付けがあるのはこの組み合わせです[1][2][8]。原因④の脱出は「足す」ことではなく、難しい夜間テクニックをやめて基本に戻ることから始まります。

科学的に明晰夢の成功率46%を記録した「MILD」のやり方とは?


対策⑤ WBTBなどをやめ、夢日記とMILDだけにする

当てはまる原因: 原因⑤ 焦りから毎晩テクニックをやりすぎている

対策④と似ていますが、こちらは焦りから毎晩WBTBなどを重ねてしまうパターンに焦点を当てています。

「毎晩やらなければ成功しない」と焦り、WBTBで毎晩起きたり複数の夜間テクニックを重ねたりしてしまう──原因⑤です。就寝前のMILDと毎朝の夢日記を続けること自体は問題ありません。明晰夢研究機関のILDISなどでは、訓練が睡眠の質を悪化させたという報告はありませんでした[2]。

問題は焦りから中途覚醒や複数の夜間テクニックを毎晩重ねることです。毎晩中途覚醒を続けると睡眠時間が削れ成功率も下がります[2]。

やること

  • WBTB・WILDなど夜間の追加テクニックは やめる
  • 夢日記(毎朝)+ リアリティチェック(日中)+ MILD(就寝前) に絞る
  • MILDは毎晩続けてよい(暗示は数回、すぐ眠ることを優先)
  • 睡眠不足の日はMILDを短くするか、その日は省略してよい

焦って夜間テクニックを増やすのではなく、夢日記・リアリティチェック・MILD の基本構成を毎日続ける方が成功率は上がりやすいです。毎晩の中途覚醒をやめれば睡眠も思い出しも守れます。

科学的に明晰夢の成功率46%を記録した「MILD」のやり方とは?


別枠|お昼寝を活用していない

上の5つの原因とは別枠ですが、明晰夢の成功率を大きく伸ばすお昼寝についても解説します。

お昼寝は1回の睡眠のなかでレム睡眠の割合が大きくなりやすく、明晰夢に成功しやすい手法です。夜の睡眠だけに頼るより昼の仮眠のほうが明晰夢に入りやすいことも睡眠研究では繰り返し報告されています。

実際に私もお昼寝を多く行った無職時代に大きく能力が伸びました。最も明晰夢が見れていたのもお昼寝を多用していた頃です。

LaBergeらの仮眠研究(Lucidity Institute)[16]

スティーヴン・ラバージェらが複数回の仮眠実験を行い、仮眠中の明晰夢は、その前の夜間睡眠の約10倍出やすいことが報告されています。明晰夢と夢の記憶力の両方に、仮眠は夜の本睡眠とは別の効き方をします。

ラバージェ自身の記録でも、午後の仮眠(お昼寝)のほうが夜間睡眠より明晰夢になりやすい傾向がありました。朝の仮眠と午後の仮眠を比べた実験では朝のほうがやや多い結果も出ていますが、いずれにせよ「昼に横になる」こと自体が明晰夢誘導として有効です[16]。

ポイント

  • お昼寝は夜のMILDや夢日記と時間帯がずれ、追加の練習時間になる
  • 短い仮眠でもレム睡眠に入りやすく、夢の記憶力と明晰夢の両方を鍛えやすい

日中にお昼寝できる環境があるなら、夜だけに頼らず昼の仮眠も取り入れてみてください。就寝前のMILDと同じ要領で、昼に横になる前に意図をセットするだけでも効果が出やすくなります。


原因が複数当てはまるとき|優先順位

当てはまる原因が複数ある場合、次の順で直すと効率がよいです。

  1. 原因①(夢を思い出せない) → 夢日記を重点に、MILDは併用したまま回想を優先
  2. 原因⑤(やりすぎ) → WBTBなど夜間の追加テクニックをやめ、基本構成に戻す
  3. 原因③(眠れない) → MILDの唱えすぎをやめ、10分以内の再入眠を最優先
  4. 原因②(リアリティチェック偏重) → 夢日記・リアリティチェック・MILDを組み合わせる
  5. 原因④(難しいテクニック) → WILDやWBTBをやめ、基本構成に戻す

研究が繰り返し示す成功の軸は夢の記憶力(夢日記)・MILD・早く眠るです[1][2]。日中のリアリティチェックと、できるならお昼寝も加えると、スランプ脱出はさらに早くなります。


対策を試してもまだ改善しないとき

ここまで直してもまったく動かないとき、原因はテクニックの外にあることがほとんどです。

  • 集中力が途切れている
  • 現実で大きなストレスがある
  • 心のどこかで「どうせ失敗する」と思っている

明晰夢は睡眠と心の余白がないとうまくいきません。

現実で大きなストレスがあるなら、それを先に解決する。 明晰夢の訓練は生活が落ち着いてからで十分です。ストレスのまま「もっと頑張れば」とテクニックを続けても成功率は上がりにくいです。

ストレス以外で原因①〜⑤を直しても進まない場合は、思い切って1ヶ月、夢日記もMILDも何もつけずに休むのも有効な選択です。執着が強いほど夢は遠ざかりやすく、一度すべてを手放すと集中力と睡眠が戻り、再開したときに思い出しや成功率が上がることもあります。

1ヶ月後に戻るときは、いきなり複数テクニックに飛ばず、夢日記・リアリティチェック・MILD から再開してください。


おわりに

明晰夢がうまくいかないとき、いちばんやってはいけないのは 原因を特定せずに新しいテクニックを足し続けること です。

研究が示すのは、失敗の多くが5つのパターンに収まり、それぞれに具体的な直し方があるということです[1][2][8]。どの対策も最終的には、毎朝の夢日記と就寝前のMILDを軸に、日中のリアリティチェックと組み合わせることがゴールです。

テクニックの詳しい手順は関連記事へ。まずは どこで詰まっているか を1つ直し、夢日記とMILDを軸に基本構成へ戻す──それが明晰夢成功への近道となるでしょう。

経験として、明晰夢が見れない時期はだいたい夢の記憶力とモチベーションの両方が落ちている時です。研究の5つの原因に当てはまらなくても、まずは時間を空けるか、夢日記に力を入れる──このどちらかから始めてみるのがよいかもしれません。

FAQ

Q. 以前は成功していたのに、最近まったくダメです

いちばん多いのは原因①(夢の記憶力の低下)と原因⑤(WBTBなどのやりすぎ)です。夢日記を重点にしつつMILDは続け、夜間の追加テクニックはやめて基本構成に戻してください。

Q. リアリティチェックを毎日やっているのに夢で発動しません

リアリティチェック単独では成功率はほとんど上がりません[1][2]。やめるのではなく、夢日記とMILDと組み合わせてください。

Q. MILDをやっても目が冴えて眠れません

原因③です。唱える回数を減らし、テクニック後10分以内に眠れた夜を「合格」と数えてください。明晰夢そのものを見られなくても、再入眠が改善していれば前進です。

参考文献・ソース

本記事で引用した研究・文献の一覧です。URLはすべて2026年7月時点でアクセス可能な公式ソースを掲載しています。

[1] Aspy, D. J., Delfabbro, P., & Proeve, M. (2017). Reality testing and the Mnemonic Induction of Lucid Dreams: Findings from the National Australian Lucid Dream Induction Study. Dreaming, 27(3), 206–231. https://doi.org/10.1037/drm0000059 (オープンアクセス版: https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0171836)

[2] Aspy, D. J. (2020). Findings From the International Lucid Dream Induction Study (ILDIS). Frontiers in Psychology, 11, 1746. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2020.01746 (PubMed: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32765385/)

[3] LaBerge, S. (1985). Lucid Dreaming. Los Angeles: Jeremy P. Tarcher, Inc.

[4] Voss, U., Holzmann, R., Tuin, I., & Hobson, J. A. (2009). Lucid dreaming: A state of consciousness with features of both waking and non-lucid dreaming. Sleep, 32(9), 1191–1200. https://doi.org/10.1093/sleep/32.9.1191

[5] Saunders, D. T., Roe, C. A., Smith, G., & Clegg, H. (2016). Lucid dreaming incidence: A quality effects meta-analysis of 50 years of research. Consciousness and Cognition, 43, 197–215. https://doi.org/10.1016/j.concog.2016.06.002

[6] Schredl, M., & Erlacher, D. (2004). Relation between dream recall and dream lucidity. Dreaming, 14(4), 177–186. https://doi.org/10.1037/1053-0797.14.4.177

[7] Domhoff, G. W. (2003). The Scientific Study of Dreams: Neural Networks, Cognitive Development, and Content Analysis. Washington, DC: APA Books. (夢記録と明晰夢の関連に関する総説的整理)

[8] Tan, L. K. L., & Fan, J. (2022). A systematic review of new empirical data on lucid dream induction techniques. Journal of Sleep Research, 31(6), e13786. https://doi.org/10.1111/jsr.13786

[9] Stumbrys, T., & Erlacher, D. (2014). Inducing signal-verified lucid dreams in a sleep laboratory setting. International Journal of Dream Research, 7(S1), S9. (後続: Stumbrys, T., Erlacher, D., Schädlich, M., & Schredl, M. (2012). Induction of lucid dreams: A systematic review of evidence. Consciousness and Cognition, 21(3), 1456–1475. https://doi.org/10.1016/j.concog.2012.07.003)

[10] LaBerge, S., & Rheingold, H. (1990). Exploring the World of Lucid Dreaming. New York: Ballantine Books.

[11] LaBerge, S. (1980). Lucid dreaming as a learnable skill: A case study. Perceptual and Motor Skills, 51(3), 1039–1042. https://doi.org/10.2466/pms.1980.51.3f.1039

[12] Aspy, D. J., Delfabbro, P., Proeve, M., & Mohr, P. (2018). Is dream recall underestimated by retrospective measures and enhanced by prospective measures? Nature and Science of Sleep, 10, 1–9. https://doi.org/10.2147/NSS.S152635

[13] 日本経済新聞(2024年8月25日)「思い通りの夢が見られる『明晰夢』、その見方と効果とは」── Ken A. Paller 氏(ノースウェスタン大学)の解説を引用。 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC258U20V20C24A1000000/

[14] WIRED(2017)「『夢をコントロール』する有効な方法が判明」── Denholm Aspy 博士の NALDIS 結果に関する報道。 https://www.wired.com/story/this-is-the-most-effective-way-to-control-your-dreams/

[15] Lucidity Institute(Stephen LaBerge)公式サイト。 https://www.lucidity.com/

[16] LaBerge, S., Phillips, L., & Levitan, L. (1994). An hour of wakefulness before morning naps makes lucidity more likely. NightLight, 6(3). https://www.lucidity.com/NL63.RU.Naps.html (仮眠と明晰夢の関連。LaBerge, Phillips & Levitan の一連の仮眠実験・1001 Nights 研究を含む)

**夢日記とMILD** の手順は、次の2本が中心です。 参考までに: